魔トリック巣

  • 2010/09/03(金) 22:41:52

最近、大流行のRPG「MT」。
こいつは品薄で、なかなか手に入らない代物だった。
それをまぁ、いろいろな手段で手に入れたわけだが、はじめようとするとゲーム機が壊れやがった。

ざけんな!!

とゲーム機を床に叩きつけると、内臓を撒き散らして、そいつは死んだ。
怒りに任せてゲーム機を壊しちまったせいで、肝心の「MT」がプレイできない。
しょうがないので、友人に貸してくれと頼むと、
「えー、いま、俺もやってる最中だから」
「じゃあ、終わったら貸してくれよ」
「いやだよ」
そっか。しょうがない。
あきらめて、とぼとぼ歩いていると、
「もしもし、そこの坊や」
と俺を呼ぶやつがいる。
うぜぇ。
そう思いながら見上げると、
「これを君にあげよう」
とゲーム機を差し出していた。
相手は胡散臭い感じがしたけど、まぁ、いいか、「MT」を今しないで、いつするってんだ。
「ありがとう、おじさん」
「おじさんじゃなくて、お兄さんだけどね」
なんかイミフなことが聞こえたが、俺は一目散に帰って、自分の部屋に入った。
さっそくパッケージから取り出した「MT」をゲーム機に突っ込んで、起動する。
あっという間に見たこともないゲーム空間がそこに現れ、俺はその世界に飛び込んだ。

姫を助けろ
世界を救え
なぞを解け

そこらへんはありきたりなことだが、まぁそれぞれのミッションは今までにない複雑さで、さすが構想10年+製作10年の大作であるな、と中ボスと戦いながら思う。

途中のキャラの名前が、どれもこれも知り合いに似ているところが笑えるが、まぁ、それもご愛嬌だろう。

そんなこんなで、まぁいろいろあって、ラスボスにたどり着いた。

このドアの向こうにはいったい何が・・・。

ドアを開けると、爺さんが一人。

「おい、おめぇ誰だ?」
「わたしはアーキテクチャー」
「あきて?」
「アーキテクチャー」
「なにもんだ?」
「この世界の設計者だ」
「ツーことは、てめぇがラスボスだな!!」
こぶしを握り締め、気合を入れると、
「ま、待て、わたしは設計しただけだ」
「せっけ?」
「設計、つまりこの世界の枠組みをつくり、しかるべき場所にしかるべきものを設置するようにと・・・」
「なにごちゃごちゃ言ってんだ。ラスボスじゃないなら、どけ!!」
やつの後ろにはドアが二つ。
「・・・よろしい。その前にドアの意味を教えてやろう」
偉そうなやつだ。ドアをあける前に一発お見舞いしてやろうか?
「右のドアは「姫」に通じる道へのドアだ。左のドアがラスボスへのドアだ」
「あんがとよ。じゃあドケ!!」
「ま、待て」
「まだなんかあんのか?」
「ドアはどちらかひとつしか選べない。片方を開けたら、もう片方のドアへの道は消える」
なに言ってんだ。最終目的は三つなのにドアの先には一つしかそれがないなんて。
「さぁ、どちらを選ぶかね」
どちらって、それじゃクリアしたら、また最初からここまでやり直しじゃねぇか。
「さぁ、どちらを選ぶかね」
爺さんは人を小ばかにしたような声でそう繰り返す。
「さぁ、どちらを選ぶかね」
「うるせぇ、くそ爺!!!」
俺は思わず爺さんに一発お見舞いしてしまった。
それほど気をこめたわけじゃないのに、爺さんは吹き飛んで消え、ドアが両方開いた。
かと思うと、ドアから「姫」が出てきて、
「おめでとう!!」
といって抱きついてきた。
ラスボスのほうのドアの奥は、なんだかわからないが、大爆発。遠くの轟音と閃光が見えたが、ドア自体が消え去った。
「さぁいきましょう」
「は?」
姫に引っ張られて、その小部屋を抜けると、エンディングになった。

「今ので終わり?」
俺は納得いかず、そう呟いたが、もう一度やり直す気にはなれなかった。

ゲームエンド